小野山公認会計士事務所

一般社団法人・一般財団法人の会計と税金

1.  一般社団法人・一般財団法人の会計

一般社団法人・財団法人の事業は、公益事業・共益事業等の営利を追求しない事業から収益事業も行えることから、法人のタイプも公益性の強いものから株式会社と同様の営利型のものも含まれます。そのため、一般社団法人・財団法人が適用すべき会計基準をどのようにするかが問題となりますが、公益法人会計基準(平成20年基準)は、一般社団法人・財団法人、人格なき社団、任意団体等でも採用可能な会計基準となっていることから、一般的には公益法人会計基準が基準となります。ただし、営利型法人の場合は、株式会社と性質は同じであり、区分経理の必要性もないため、株式会社と同様の会計基準でも問題はないと思われます。

 

【公益法人会計基準において作成が要求されている財務諸表】

 

・貸借対照表

・正味財産増減計算書

・キャッシュ・フロー計算書

 

また、一般社団法人・財団法人は、公益社団法人・財団法人のように区分経理は要請されていませんが、課税事業と非課税事業が混在する場合は、実務上区分経理や共通経費の配賦などが必要になってきます。

 

2.  一般社団法人・一般財団法人の税務

一般社団法人・財団法人は公益事業から営利事業も行え、事業目的に制限が無いことから、税務上の取扱いは法人の種類と事業内容によって変わってきます。事業目的の種類には「公益事業」、「共益事業」、「収益事業」の3種類に分けられそれぞれの内容は以下のようになります。

 

1. 公益事業

公益事業は、社会全般の利益又は不特定多数の利益を図ることを目的とする事業になります。

法的な定義としては2種類あり、1つは公益社団法人の認定に関して規定されているもの(公益社団法人及び公益財団法事の認定等に関する法律第2条第4号に記載されている「学術、技芸、慈善その他の公益に関する別表各号に掲げる種類の事業であって、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するもの」)、もう1つは特定非営利活動促進法第2条1項に規定されているもの(「特定非営利活動とは、別表に掲げる活動に該当する法人であって、不特定多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするもの」)になります。

 

2. 共益事業

組織の構成員や会員に共通する利益を図ることを目的とする事業であり、構成員や会員が経済的・非経済的な受益者になるものになります。

 

3. 収益事業

経済的利益の獲得を目的とする事業になります(法人税法施行令第5条1項に、34種類の収益事業の規定があります)。

 

一般社団法人・財団法人は上記いずれの事業も行えますが、税務上は非営利型の一般社団法人・財団法人と普通法人の2種類に分かれます。非営利型法人の一般社団法人・財団法人は、公益社団法人・財団法人と同様に原則非課税となり収益事業に関してのみ課税されます。普通法人は事業の種類に関係なく株式会社と同様に全ての所得が課税対象となります。

一般社団法人・財団法人の法人税法上の取扱い

 

また、非営利型の一般社団法人・財団法人は以下の2種類があり、公益社団法人・財団法人のように認定を受ける必要はありませんが、要件を満たすよう定款に定めておき、法人を運営する必要があります。

① 非営利性が徹底された法人

② 共益的活動を目的とする法人

 

非営利型の一般社団法人の要件

 

事業目的が公益事業、共益事業中心の法人であれば、要件を満たすことにより法人税法が非課税となるメリットを受けられることができるので、検討されると良いと思われます。

その他、消費税については株式会社等とは異なる点があり、特定収入等について仕入税額控除の調整計算が必要になるため留意が必要です。

 

当事務所は一般社団法人・一般財団法人の活用方法のコンサルティング、設立から会計・税務までトータルサポートを行っております。一般社団法人の活用や会計・税務申告を検討されている方はお気軽にご相談下さい。

 

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