小野山公認会計士事務所

一般社団法人・一般財団法人のM&A

一般社団法人のM&Aについて、従来は買収の形はありましたが、合併に関してはありませんでした。平成20年の公益法人制度改革関連三法の施行により、合併の規定ができたため(一般法人法242条)合併もできるになりました。

 

1. 買収のケース

一般社団法人は出資持分がないため、通常の株式会社の買収のように株式譲渡による方法はできません。経営支配権を移転するためには、「社員」(一般財団法人の場合は、「評議員」)の立場を譲ってもらうように契約を締結する必要があります。また、基金を拠出している場合は、基金の返還等の処理も必要になります。

 

2. 合併のケース

平成20年の改正により一般社団法人又は一般財団法人は、他の一般社団法人又は一般財団法人と合併することができるようになりました(一般法人法242条)。

なお、合併の当事者が一般社団法人のみ又は一般財団法人のみである場合は、同じ種類の法人でなくてはならず(一般法人法243条1項)、合併の当事者が異なる場合は、基金の全額を返還していないときは、合併後の法人は一般社団法人でなければなりません(一般法人法243条2項)

 

ちなみに、公益社団法人(公益財団法人)は、一般社団法人(一般財団法人)が公益法人等認定委員会により認定されたものであり、法人の基礎は一般社団法人(一般財団法人)であるため、公益社団法人(公益財団法人)と一般社団法人(一般財団法人)の合併も行うことができます。

 

次に合併による被合併法人の合併法人への資産・負債の移転は、株式会社等の合併と同様に税制適格合併か、税制非適格合併によって異なります(参照コラム  税制適格と税制非適格における組織再編の税務上の違い)。

原則は時価により譲渡したものとして、簿価と時価の差額が譲渡損益として合併前の被合併法人の所得となります。税制適格合併であれば簿価で移転できますが、税制適格の要件である100%グループ内再編、50%超100%未満グループ内再編の要件は、そもそも一般社団法人には持分の概念がなく適用することができないため、共同で事業を営むための再編だけが適用要件となりますので留意が必要です。

 

 

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