小野山公認会計士事務所

一般社団法人・一般財団法人を含む非営利法人の消費税

1. 消費税法上の特例の対象範囲

 

非営利型法人の特徴として、寄付金・補助金・交付金等の不課税売上や、非課税売上(学校法人の入学金や授業料等、宗教法人の宗教活動収入、社会福祉法人の介護料収入等)の割合が一般的に高いことが挙げられます。非営利型法人でも、基準期間(前々事業年度、又は、前事業年度の上期)における課税売上が10百万円を超える場合は消費税の課税事業者になりますが、非営利型法人の特殊性を考慮して、以下の法人については「消費税法上の特例」が適用されます。

 

【消費税法上の特例の対象となる法人等】

① 国又は地方公共団体の特別会計

② 消費税法別表第三に掲げる法人

③ 消費税法以外の法律において、消費税法別表第三に掲げる法人とみなされる法人

④ 人格のない社団等

 

②の「消費税法別表第三に掲げる法人」の主な法人には、学校法人、社会福祉法人、社会医療法人、宗教法人があり、この中に公益社団法人・公益財団法人及び一般社団法人・一般財団法人も含まれます。また、④の「人格のない社団等」で主なものはマンション管理組合などがあります。

 

 

2. 特定収入割合による特例計算対象の判定

 

非営利型法人は補助金・交付金・寄付金等の収入の割合が高いことから、それらを利用して課税仕入れ行ったものを仕入税額控除の対象にすると支払う消費税が過小になってしまいます。そこで消費税法上の特例において「特定収入」に関連する課税仕入れを調整することにしています。

「特定収入」という概念は普通法人には無く、消費税法上の特例の適用においてのみ発生しますが、非営利法人の消費税計算は、まず特定収入を抽出することから始まります。

 

特定収入・・・不課税売上に含まれる補助金・交付金・寄付金等で、全部又は一部が課税仕入れ等使用されるもの

 

【特定収入の区分】

特定収入の区分

 

普通法人と同じく、収入を課税売上・免税売上・非課税売上・不課税売上の4つの区分に分けるところまでは同じですが、消費税法上の特例計算では不課税売上を上記のように分類します。特定収入が抽出できれば、特定収入割合を計算し、特定収入割合が5%を越えない場合は、調整計算を行わず通常の消費税の計算を行い、特定収入割合≧5%の場合は、特定収入に係る消費税額を仕入税額控除から差引きます。

 

特定収入割合の計算

 

 

3. 調整計算の方法

 

特定収入割合が5%を越える場合は、以下の調整計算が必要になります(A、Bは特定収入の区分の表を参照)。

 

① 課税売上割合が95%以上の場合

仕入税額控除(特例計算前)-{(仕入税額控除-B×4/105×調整割合)+(B×4/105)}

 

② 課税売上割合が95%未満(個別対応方式)の場合

仕入税額控除(特例計算前)-{(仕入税額控除-A×4/105×課税売上割合-B×4/105)×調整割合+(A×4/105×課税売上割合)+(B×4/105)}

 

③ 課税売上割合が95%未満(一括比例配分方式)の場合

仕入税額控除(特例計算前)-{(仕入税額控除-B×4/105×課税売上割合)×調整割合+(B×4/105×課税売上割合)}

 

調整割合の計算

 

なお、「課税売上割合が著しく変動した場合の税額調整」と同様に、調整割合が著しく変動した場合(当課税期間と3課税期間の調整割合の差が±20%以上)は、「特定収入の調整割合が著しく変動した場合の税額調整」の計算が必要になるため、留意が必要です。

 

【関連コラム】

一般社団法人・一般財団法人の会計と税金

 

一般社団法人・一般財団法人を含めた非営利法人の会計・税務の事で困ったことやお悩みごとがればお気軽にご相談下さい。

 

 

記事一覧に戻る   ページ上部へ移動

ページ上部へ移動

東京・名古屋・大阪・京都・神戸・滋賀・奈良で公認会計士や税理士をお探しなら小野山公認会計士事務所へ