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相続評価における土地の評価減の適用にご注意を

相続における居住用・事業用の宅地について、適用条件を満たすものには相続税評価が50%~80%減額されるのは良く知られていると思いますが、平成22年度の税制改正により、その適用条件がより厳格化されています。

そのため平成22年以前に相続税評価減を目的として土地活用をされている場合は、改正により当時の想定が崩れていないかよく確認しておく必要があります。

小規模宅地等の評価減の改正

 

平成22年度改正のポイントは以下の4点になります。
① 宅地の相続により取得した者ごとに適用要件を判定
② 事業・居住の継続要件の厳格化
③ 一棟の建物の敷地で、特定居住用宅地に該当するものとそれ以外のものがある場合には、部分ごとに按分して軽減割合を計算
④ 居住地が複数ある場合、評価減の対象となる居住用宅地は主である一つの宅地に限定

小規模宅地の改正による影響①

取得者の一部が適用要件に該当していれば、それ以外の取得者もまとめて減額されていたのが、取得者毎に判定されるため、上記では子供の相続分は評価減無しの100%評価になってしまいます。

小規模宅地の改正による影響②

宅地に居住用も兼ねたビルがあった場合、一部に居住用のものがあり評価減が適用できれば全体に適用できましたが、改正後は利用状況に応じて減額割合が変わってきます。賃貸マンションの一部に居住用部分を設けて全体に評価減を適用する手法は使えなくなっているので、ご留意下さい。

 

なお、平成25年度税制改正により以下の緩和措置が行われますので、相続税の試算をする際はご注意下さい(平成27年1月1日以降)。

 

① 特定居住用宅地の適用対象面積が240㎡から330㎡に拡大

② 特定居住用宅地と特定事業用宅地がある場合の併用調整計算の撤廃

 

仮に特定事業用宅地が320㎡、特定居住用宅地が120㎡あった場合で、特定事業用宅地を優先して小規模宅地等の評価減を使用すると特定居住用宅地に対しては24平方㎡しか適用できませんが、改正後はそれぞれの適用限度面積まで適用できるようになります(それぞれ限度面積上限まで対象となると、400㎡+330㎡=730㎡)。なお、貸付事業用宅地を選択する場合は、従来どおり調整計算が必要になります。

 

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