申告し忘れた過去の上場株式等の譲渡損失の申告
相場が上昇したことにより利益が出た方も多いかと思われますが、そのような時、過去に発生した損失と相殺することが可能です。上場株式やFX・先物取引の損失は3年間繰越ことができますが、繰越すためには譲渡損失が出た年度でも確定申告を行い、かつ、損失発生年度以降も確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)又は確定申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)により損失繰越額を申告することが必要となります。
ただし、損失であるからと申告をし忘れていた場合は、後で更正ができると思っていてもできない場合があるので、注意が必要です。
ケース① 確定申告書を提出していない場合
譲渡損失が発生した年度において確定申告書を提出していない場合、期限後申告により株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書と確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)、又は、先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書と確定申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)を添付し、発生年度から使用年度までの間も確定申告書付表を提出すれば、譲渡損失を使用することが可能です。
ケース② 確定申告書を提出している場合(譲渡損失の申告無し)
上場株式等の特定口座(源泉徴収なし)や一般口座での損失であれば、株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書と確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)を添付し更正の請求をすれば、損失があったこととされます(租税特別措置法通達37の12の2-5)。
ただし、特定口座(源泉徴収あり)の場合は、申告するかしないかの選択が可能であり、申告しなかったのは納税者が選択をしたとみなされるため、更正の請求ができないため特に注意が必要です。
ケース③ 確定申告書を提出している場合(譲渡損失の申告有り)
譲渡損失の金額が、計算誤り又は特定口座(源泉徴収なし)・一般口座の漏れにより過少であった場合は、更正後の金額を基として繰越控除の規定を適用することとされているため、更正の請求ができます(租税特別措置法通達37の12の2-6)。
このように、金融商品の種類と口座により、申告し忘れた譲渡損失の取扱いが変わるため、損失が出た場合の申告処理については留意が必要となります。