株式の分散防止(相続人に対する売渡請求)
非公開会社(定款により株式譲渡が制限されている会社)であれば、株式が譲渡される時点で歯止めをかけられますが、相続による承継は防ぐことができません。そこで、相続人等に対して株式の売渡しを請求できる旨を定款に定めることにより、相続人等に対して売渡請求ができます(会社法174条)。
簡単に相続人に対する売渡請求を定款に盛り込めばOKと書いている書籍もありますが、必ずしも売渡請求ができるとは限らない点と、相続クーデターが発生しないよう導入には注意が必要です。
① 請求対象期間は相続があったことを知った日から1年内
② 売渡請求により会社が買い取れるのは、分配可能利益の範囲内のみ(分配可能利益がなければ、そもそも買い取れない)
③ 売渡請求の対象となる相続人は、売渡請求の決議に関する議決権はないため、オーナー株式の承継者以外の者が、売渡請求をかけるリスクがある(例は下参照)。
②に関しては、会社の状況に照らして、実行可能性を検討し、可能性が低ければ売渡請求以外の分散防止策も検討しておくことが必要です。また、③に対する対応策は以下のようなものがありますが、総合的に考慮して決定することが必要ですので、ご相談下さい。
- 議決権制限株式の導入(オーナー所有株式以外)
- 拒否権付株式の導入(オーナー所有株式)
- オーナー所有株式を譲渡制限としない
- オーナー所有株式を法人所有に切替え
- その他