小野山公認会計士事務所

店舗・事務所と居住スペースが併存している賃貸物件の建設・取得に係る消費税

事務所・店舗用スペースと居住用スペースが併存している賃貸物件もよくありますが、このような賃貸物件の建設・購入に係る消費税の取扱い(仕入税額控除)はどのようになるのでしょうか。

まず個人・法人の消費税の選択状況がポイントになります。

仕入税額控除の計算

① 課税売上割合が95%以上(基準期間の課税売上500百万円以下)

仕入税額は全額控除可能。

ただし、課税売上割合が著しく変動した時の調整に該当した場合は、注意が必要です。

 

② 課税売上割合が95%未満(個別対応方式)

課税売上(店舗・事務所の家賃収入)と非課税売上(共同住宅の家賃収入)に対応するものであるため、共通対応分の仕入税額として基本的には課税売上割合分だけ控除が可能となります。

 

③ 課税売上割合が95%未満(一括比例方式)

課税売上割合の分だけ控除可能。課税売上割合が高ければ高いほど、控除額は増えます。

ただし、その後の2年間共同住宅からの家賃収入が増えるなどにより、課税売上割合が大きく減少して調整計算が適用される場合は注意が必要です。

 

また、②のケースでは、消費税法基本通達11-2-19(課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに該当する課税仕入れ等であっても、例えば、原材料、包装材料、倉庫料、電力料等のように生産実績その他の合理的な基準により課税資産の譲渡等にのみ要するものとその他の資産の譲渡等にのみ要するものとに区分することが可能なものについて当該合理的な基準により区分している場合には、当該区分したところにより個別対応方式を適用することとして差し支えない。)を適用して、使用面積割合により課税売上対応分(店舗・事務所部分)と非課税売上対応分(居住用部分)に分けることも可能です。

ただし、使用面積割合により区分する場合、それぞれの区分の建築単価がほぼ同一であることが前提として必要ですので、使用面積割合で区分される場合はその点に留意し、説明できるようにしておく必要があります。

 

なお、平成22年度税制改正により、原則課税を申請して(又は資本金10百万円以上の法人を設立した場合は設立期)2年間の間に、居住用の賃貸物件を建設・取得する場合は、3年間継続して原則課税を適用しなければならない(つまりは調整計算の対象となる事がある)ため注意が必要です。

 

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