空き家の取得・リフォーム・解体に係る補助金の税務
地方を中心として全国的に空き家が増加していますが、人口が減少していく日本において今後も増加していくことが予測されます。この問題に対応するため、空き家の取得やリフォーム、解体費用の一部に補助金を支給する自治体がありましたが、空き家の対策法案が国会で可決され、地方自治体による空き家対策が今後進むことが考えられます。
自治体から空き屋の取得・リフォーム・解体に係る補助金を受けた時、補助金を受けた不動産を売却する時の取扱いは以下のようになります。
1. 空き屋に対する補助金を取得した場合の税金
個人が補助金を受給した場合、基本は一時所得になります。
一時所得の計算:(補助金金額-500千円)×1/2
仮に2,000千円の補助金を受けた場合、750千円の一時所得が発生します。
逆に補助金が500千円以下であり他に一時所得がなければ、一時所得は発生しません。
ただし、空き屋の取得・リフォームに係る補助金の支給を受けた場合は、確定申告書の提出を要件として国庫補助金等の総収入金額不算入(所得税法第42条)を適用し、補助金に対して課税されないようにすることができます。
<申告書に添付する明細書>
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/1557/29.pdf
また、空き家の解体に係る補助金を受けた場合は、移転等の支出に充てるための交付金の総収入金額不算入(所得税法第44条)の対象となるため課税されません。
2. 住宅ローン控除における取扱い
補助金を受けた空き家に、住宅ローン控除を適用する場合、住宅ローン控除の計算における住宅の取得対価等は受けた補助金を控除する必要があります(租税特別措置法施行令第26条第5項)。また、空き家のリフォームについて住宅ローン控除を適用する場合も同様です(租税特別措置法第41条第13項)。
空き屋付きの土地を取得し、空き家を解体した後に住宅を建てる場合は、取得後おおむね1年以内に解体すれば解体費用は土地の取得対価に含めることができますが、解体に係る補助金を受けた場合は住宅ローン控除の計算において補助金を取得対価から控除する必要があります。
租税特別措置法通達41-25(敷地の取得対価の額の範囲)
「敷地の取得対価の額」には、次に掲げる金額を含むものとする。
(1)埋立て、土盛り、地ならし、切土、防壁工事その他の土地の造成又は改良のために要した費用の額
(2)土地等と一括して建物等を取得した場合における当該建物等の取壊し費用の額(発生資材がある場合には、その発生資材の価額を控除した残額。ただし、土地等の取得後おおむね1年以内に当該建物等の取壊しに着手するなど、その取得が当初からその建物等を取り壊して家屋を新築することが明らかであると認められる場合に限る。)
3. 空き屋の補助金を受けた不動産を売却する際の取扱い
① 取得またはリフォームした空き家を譲渡する場合
取得・リフォームに係る補助金は、移転等の支出に充てるための交付金の総収入金額不算入(所得税法第44条)を適用したかより異なり、適用した場合は取得費から補助金額を控除し、適用しなかった場合は補助金を控除する必要はありません。
② 空き屋を解体して新築した場合
解体に係る補助金は、取得費から控除します。
③ 空き屋を解体して土地だけ譲渡する場合
土地の譲渡のための解体費用は不動産の譲渡費用に含まれます(所得税基本通達33-7)。解体に係る補助金は、移転等の支出に充てるための交付金の総収入金額不算入(所得税法第44条)を適用したかより異なり、適用した場合は解体費用から補助金額を控除し、適用しなかった場合は補助金を控除する必要はありません。