決算期はいつにするのが良いか
起業する際に、決めなければならない事項として法人名、法人の事業目的、本店所在地などがありますが、その中の一つに会計期間、すなわち決算期があります。決算期を決める時は、特に何の考えもなく3月決算の会社が多いので3月にされる場合もあるかと思います。
しかしながら、決算期は経営に影響を与える事項でもあるため慎重に決めることが必要です。決算期を決めるポイントとしては、以下の点が挙げられます。
1. 資金繰り
法人税、地方税、消費税の申告納付期限は、決算期後2ヵ月後に来ます。3月決算であれば5月末になります。売上の季節変動があり、納税月の売上の入金が低ければ、資金繰りがしんどくなりますので、売上のピークを期首に持って来た方が納税負担は楽になります。
また、労働保険料や源泉所得税(納期特例)の納付時期なども考慮に入れておく必要があります。
2. 決算業務
申告書の提出期限は決算期の2ヵ月後であることから、3月決算法人の場合、5月末の提出に向けてゴールデンウィークを挟む4月・5月にかけて事務作業の負担が発生してしまいます。社内業務の負荷が低い月や、休みが少ない月に決算作業が来るようにすると、作業日数不足によるミスや余計な残業代を削減することができます。
また、決算期末には棚卸が必要になりますので、在庫水準が低い時に決算期を設定すると、棚卸の手間とコストを削減することができます。
3. 節税対策
売上に季節変動がある法人は、売上のピークが決算月に重なると、決算を締めるまで着地点の損益が予測しにくくなります。逆に、上期に売上のピークが来れば、年間の損益の予測が立てやすくなり、その分前もって節税対策等を取りやすくなります。
4. 決算書の見た目
法人の状況は日々変化しますが、資産・負債の状況を見る貸借対照表はレントゲンのように、決算期末の一時点を写しだしたものになります。一時点の情報に過ぎないとは言え、銀行融資において貸借対照表は重要な項目の一つであり、見た目の悪い決算書はマイナス要因になりますので、売掛金や棚卸資産、貸付金等の資産や、借入金が膨らんでいる状態は避けた方が良いと言えます。
その意味では、銀行の支店・担当者が融資実績を上げたいために、3月末付近にお付き合いで借入金をする場合もあろうかと思いますが、法人が3月決算の場合、期末の有利子負債が膨らみ負債比率や自己資本比率等の財務指標が悪化するため、注意が必要です。
決算期は、一度決めた後でも自由に変更することができます。起業後、法人の損益・資金繰りの動きが把握できた段階や、状況が変化した際はいつでも変更することができますので、既に決算期が決まっている場合でも検討してみてはいかがでしょうか。
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