小野山公認会計士事務所

小規模宅地等の特例対象が複数ある場合の対象面積の計算

小規模宅地等の特例を適用する際、対象となる宅地が1種類だけの場合、適用できる上限面積は以下のとおりとなります。

小規模宅地等の特例の上限面積

2種類以上の宅地があり優先して適用する宅地が上限面積までいかない場合等、2種類以上の宅地に対して小規模宅地等の課税価格の特例を適用する時は、全体での上限枠があるため、以下のように調整計算を行い小規模宅地等の特例の適用面積を計算する必要があります。

 

1. 平成26年(2014年)12月末までの相続・遺贈における調整計算

 

調整計算の式は以下のとおりとなります。

小規模宅地等の調整計算(平成26年12月末まで)

(例1)

特定居住用宅地等(A):132㎡

特定事業用宅地等(B):200㎡

 

① 特定居住用宅地等を優先的に選択する場合の小規模宅地の特例適用面積

特定居住用宅地等 132㎡、特定事業用宅地等 180㎡

 

② 特定事業用宅地等を優先的に選択する場合の小規模宅地の特例適用面積

 

特定居住用宅地等 120㎡、特定事業用宅地等 200㎡

 

(例2)

特定居住用宅地等(A):132㎡

貸付事業用宅地(B):160㎡

 

① 特定居住用宅地等を優先的に選択する場合の小規模宅地の特例適用面積

特定居住用宅地等 150㎡、貸付事業用宅地等 90㎡

 

② 貸付事業用宅地等を優先的に選択する場合の小規模宅地の特例適用面積

特定居住用宅地等 48㎡、貸付事業用宅地等 160㎡

 

 

2. 平成27年(2015年)1月以降の相続・遺贈における調整計算

 

平成25年度税制改正により、特定居住用宅地等の適用面積が拡大したことと、居住用宅地と事業用宅地のみの場合は調整計算が不要になったことから、貸付事業用宅地等を小規模宅地の特例対象とする場合に行う調整計算の式が変わります。

 

小規模宅地等の調整計算(平成27年1月より)

 

(例3)

特定居住用宅地等(A):132㎡

特定事業用宅地等(B):200㎡

 

小規模宅地等の特例の対象として選択する宅地等の全てが、特定居住用宅地等と特定事業用宅地等である場合は、それぞれの適用対象面積まで適用可能となり調整計算は不要となります。

 

よって適用対象面積は、特定居住用宅地等 132㎡、特定事業用宅地等 200㎡ となります。

 

(例4)

特定居住用宅地等(A):132㎡

貸付事業用宅地(B):160㎡

 

① 特定居住用宅地等を優先的に選択する場合の小規模宅地の特例適用面積

特定居住用宅地等 132㎡、貸付事業用宅地等 120㎡

 

② 貸付事業用宅地等を優先的に選択する場合の小規模宅地の特例適用面積

特定居住用宅地等 66㎡、貸付事業用宅地等 160㎡

 

平成27年1月以降は、居住用宅地と事業用宅地が完全併用できるため、自宅兼事務所で営業している場合や、自分の土地を自社に貸付けている中小企業のオーナーには有利になります。ただし、自社に貸付けしている宅地(特定同族会社事業用宅地等)で注意して頂きたいのは、同族会社に対して使用貸借契約により無償又は固定資産税程の賃料で貸している場合等は、自用地としての評価となり小規模宅地等の特例は適用できないためご注意下さい。

 

 

【関連コラム】

居住用宅地と事業用宅地の評価減のフル活用による節税

 

 

記事一覧に戻る   ページ上部へ移動

ページ上部へ移動

東京・名古屋・大阪・京都・神戸・滋賀・奈良で公認会計士や税理士をお探しなら小野山公認会計士事務所へ