小野山公認会計士事務所

株式交換・株式移転による純資産の処理

1. 株式交換

 

① 第三者間の株式交換

 

パーチェス法により会計処理を行い、株式交換完全親法人は、株式交換新株の時価を子会社株式として資産計上します。純資産の部は、増加した株主資本等の範囲内で資本金・資本準備金・その他資本剰余金の配分を自由に(株式交換契約書への記載は必要)決めることができます。また、増資のように増加純資産の1/2以上を資本金に組入れる必要もありませんので、全てその他資本剰余金にすることも可能です

ただし、債権者保護手続が不要な場合には、資本金と資本準備金にしか計上できず、その他資本剰余金には計上できない点にご留意下さい(会社計算書類規則39条2項)。

 

② グループ間の株式交換

 

持株比率が100%未満の子会社を100%子会社にするための株式交換はよく行われますが、株式完全子法人のグループ会社持分は持分プーリング法により簿価で処理をします。株式完全親法人の純資産の処理は上記と同様ですが、株式完全子法人が債務超過であり株主資本等変動額が0以下の場合は、その他利益剰余金のマイナスとして受入れます(会社計算書類規則39条3項)。

なお、債務超過子会社の株式交換において、株式交換前に所有していた株式交換完全子法人の株式(先行取得株式)簿価より、株式交換により取得した株式完全子法人の株式(追加取得分)のマイナスの方が大きい場合は、負債の部に「組織再編により生じた株式の特別勘定」を計上します。

 

 

2. 株式移転

 

① 第三者間の株式移転

2つの会社が1つの会社の傘の下に入りますが、第三者間の株式移転の場合、株式企業価値が高い方が取得者となります。合併の時と同様、取得者側が基準となるため、持株会社(株式移転設立完全親会社)における取得者側の株式価額は簿価純資産となり、被取得者側の株式価額は被取得会社の時価となります。

純資産の部は、増加した株主資本等の範囲内で資本金・資本準備金・その他資本剰余金の配分を自由に(株式移転計画の定めは必要)決めることができます(会社計算書類規則52条1項)。

 

② グループ間の株式移転

 

共通支配下の取引となるため、傘下に入る会社(株式移転完全子会社)の株式価額は簿価純資産となり、純資産の部は上記と同様です。

なお、債務超過会社の株式移転の場合、株主資本変動額が0未満になることがありますが、その時は利益剰余金をマイナスします(会社計算書類規則52条2項)。

 

 

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