小野山公認会計士事務所

借入金の資本金への振替(DES)

赤字による運転資金の不足等から役員より資金を借入れ、役員借入金が貸借対照表に残っていることは同族会社ではよくあります。
返済予定のない役員借入金があり当該役員に相続が発生した場合、会社に対する貸付金が相続財産になり相続税負担だけが発生する事態になりかねません。
また、総資産に対する役員借入金の比率が高い場合、債務超過の状態であることが予想されますが、銀行などの外部からの評価が落ちることがあります。

このような場合、借入金を資本金へ振替えるDES(Debt Equity Swap)という手法があります。通常の増資は資金を会社に出資しますが、DESは貸付金という金銭債権の現物出資になります。
では、DESを行った場合の処理はどのようになるかは、現物出資者が個人か法人か、法人の場合税制適格、税制非適格になるかによって変わってきます。

DESの処理

役員からの借入金の場合、債権者は個人となりますので、DESの対象債権の評価は「時価」となります。ここで、問題となるのは債権の時価ですが、DESを行うのは債務超過の状態や業績が悪化した状態であることが多いことから、額面より低い評価になりDESを実施する会社で債務免除益が計上されることになります。

債権の時価の算定方法は明確にされていませんが、国税庁の文書照会の回答によれば、合理的に見積られた再生企業からの回収可能額に基づき評価することになります。
その評価は具体的には、以下の算定の合計になります。
① 資産評定基準に従って資産評定を行い、その評定価額を基礎とした再生企業の実態貸借対照表の債務超過額
② 債務処理に関する計画における将来の損益見込み等

なお、債務処理に関する計画としては以下のものが主なものになります。

・私的整理に関するガイドライン及び同Q&Aに基づき策定された再建計画
・ 中⼩企業再⽣⽀援協議会の⽀援による再⽣計画の策定⼿順(再⽣計画検討委員会が再⽣計画案の調査・報告を⾏う場合)に従って策定された再⽣計画
・ RCC 企業再⽣スキームに基づき策定された再⽣計画
・ 特定認証紛争解決⼿続に従って策定された事業再⽣計画(事業再⽣ADR)
・ 株式会社企業再⽣⽀援機構が買取決定等を⾏った債権の債務者に係る事業再⽣計画

 

DESによる債務免除益により課税所得が発生するような場合や、法人において寄付金課税されたくない場合は他の方法(疑似DES、増資、事業譲渡、会社分割等)を検討することになります。

なお、消費税において貸付金債権の現物出資は資産の譲渡に該当することになり、非課税売上となります。課税売上割合に影響を与えるため、DESを行う場合は出資者の消費税の影響も考慮する必要があります。

当事務所ではDESの評価、DESを含めたスキームの相談を承っておりますので、お気軽にお問合せ下さい。

 

<関連コラム>

子会社の再建・整理に伴う寄付金課税

 

 

記事一覧に戻る   ページ上部へ移動

ページ上部へ移動

東京・名古屋・大阪・京都・神戸・滋賀・奈良で公認会計士や税理士をお探しなら小野山公認会計士事務所へ