小野山公認会計士事務所

国際相続・贈与における課税

贈与者(被相続人)、受贈者(相続人)が外国籍あるいは海外居住者である場合や、贈与・相続財産が海外にある場合など、国際間の贈与・相続に関しては日本の税法のみならず、状況によって現地国の税法が絡むことがあるため、手続きも含めると複雑になります。

 

国際相続・贈与は主に、贈与者(被相続人)、受贈者(相続人)、財産の所在地の3点の関係によりパターンが分けられます。

国際相続のパターン

 

国際相続・贈与でご相談を受ける代表的な事例については、以下のようなものがあります。

 

1. 日本に居住している人が海外に投資をしている場合

 

主に①のパターンで、海外の金融商品や不動産に分散投資している場合や海外に現地法人を設立している等国外財産がある場合です。

この場合、受贈者(相続人)が日本に居住しているため国外財産についても、日本の贈与税(相続税)が発生します。また、国外財産の所在地により、国外財産に対して所在地国の贈与税・相続税も発生することがありますので(外国税額控除が使用できれば問題はありませんが)、国外財産の所在地国の税制について相続手続きも含めて確認しておくことをお勧めします。

 

2. 海外に居住している人が日本に投資をしている場合

 

今度は逆に主に⑯のパターンで、日本に居住していないが日本に財産がある場合です。この場合、日本に所在する財産について、日本の贈与税・相続税が発生します。この場合も贈与者(被相続人)又は、受贈者(相続人)の居住地国の税制により、国際的二重課税が発生することがあります。

 

3. 子供や孫が海外留学・海外赴任等で海外に居住している場合

 

主に⑨、⑩のパターンです。国内財産、国外財産ともに基本は日本の贈与税・相続税が発生します。ただし、⑩のパターンで受贈者(相続人)と贈与者(被相続人)の両者が過去5年以内に日本に「住所」が無ければ、国外財産については日本の贈与税・相続税はかかりません。

 

4. リタイアして海外移住している場合

 

退職後に長期滞在ビザや永住権を取って海外に居住されている場合で、②、⑥、⑩、⑭のパターンです。②、⑥のパターンは国外財産も日本の贈与税・相続税が発生します。⑩のパターンは受贈者(相続人)と贈与者(被相続人)の両者が過去5年以内に日本に「住所」が無ければ、国外財産については日本の贈与税・相続税はかかりません。なお、アメリカなど移住国に財産がある場合、移住国の贈与税・相続税が発生する場合がありますので、ご留意下さい。

 

5. 国際結婚をしている場合

 

⑪、⑫のようなパターンで、例えば夫がアメリカ人、妻が日本人のような場合です。国外に住んでいるような場合です。このような場合、まず受贈者(相続人)の居住地と国籍がポイントになります。

受贈者(相続人)が日本に居住している場合は、国内財産・国外財産全てに対して日本の贈与税・相続税がかかります。逆に、受贈者(相続人)海外に居住しており、日本国籍である者が過去5年以内に日本に「住所」が無ければ、国外財産には日本の贈与税・相続税はかかりません。

 

6. 在日外国人の方の相続

 

日本人と結婚又は帰化により日本国籍を取得した場合以外は外国籍のままになりますので、あとは「住所」(生活拠点等)が問題になります。

受贈者(相続人)が日本に居住している場合は、国内・国外財産について日本の贈与税・相続税がかかります。次に、贈与者(被相続人)がアメリカ、台湾、韓国等の遺産課税方式を採用している国の国籍を有している場合で、その国の居住者であれば国内・国外財産に対して、その国の非居住者であればその国に所在する財産のみ、その国の遺産税等がかかります。そのため国籍のある国の財産については、国際的二重課税が発生することがあります。

 

 

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